FXは決済したポジションのみが所得税の課税対象
そうなるとたくさんの含み損に耐えながら運用をするトラリピはいつでも税金の面で不利になります。

FXは超長期でポジションを持つ人がそんなに多くないから、きっと計算がラクな決済ポジションが対象なんだろうな~と想像しています。
だって評価額も対象にしたら年末の12月31日時点での評価額をしっかり記録しておいて計算しないといけないので、かなりの手間ですから(申告するほうも、精査するほうも)
だから、個人のFX所得税申告は決済したポジションのみが対象だとは思いますが(法人は評価額も含めて申告できます)トラリピでFX運用を行いたくさんの税金を払うほうとしては由々しき問題です。
そこで活躍するのが手動リピートの必殺技である損出し!
しかも節税だけでなく、損出しの機会を利用してFX口座を最適化しようというのがこのブログの主旨です。
損出しは年末がセオリーだけど【ある理由から】今年は早めに行います

通常であれば年末の12月31日に行うのがベストとされている損出し
手動リピートの観点から言えば、その時点で評価額が大きくマイナスなものは決して年内に利確するレートまであがることがないというのがその根拠です。
逆に言えば、早めに損出しを行ってしまうと年内に利確レートに達してしまう可能性が出てきます
そうなると、損出しはムダな行為となってしまい、単にポジションの持ち直しにかかったスプレッド(売り買いのレート差)を損しただけになってしまいます。
ここまでが普通の損出しのセオリーですが、これに「スワップ額」を考慮すると違う景色が見えてきます。
FX口座によって大きく違うスワップ額、それを損出しのタイミングで最適化する

日々もらえるスワップ額がFX口座によって大きく違うことは知っていますか?
わたしがそもそも手動リピートを行っているのも、このスワップ額を最適化したいというのが理由の1つです。
でも、このスワップ額は通貨ペアによってベストなFX口座が変わってきます
さらに言えば、スワップ額は日々変動するので、時間とともにベストな口座が変わってしまうのです
よって半年や1年ごとに平均スワップを見直し、よりよいFX口座にポジションを移行することで、受け取れるスワップ額を最大化することができます。
ユーロ円売りとスイスフラン円売りのスワップ額に改善の余地あり

わたしがポジションを保有している通貨ペアを見渡してみると、以前からユーロ円売りとスイスフラン円売りのスワップ額がときおり0円になっていることに気がつきました。
念のために他のFX口座のスワップ額を確認すると、他のFX口座ではずっとプラスのスワップが続いているのです。
ユーロ円売りのスワップ
まずはユーロ売りを比べてみましょう。
累計スワップ額をポジションの保有日数で割ると過去の平均スワップ額がわかります。
既存FX口座(LIGHT FX)のスワップ

2021年2月15日からブログ執筆時(11月16日)までポジションの保有日数は274日
累計のスワップ額は88円です。
88円を274日で割ると1000通貨辺りの平均スワップ日額は0.32円となりました。
新規のFX口座(LINE FX)のスワップ

保有してからまだ日が浅いですが、11月9日から16日までポジションの保有日数は7日間
累計のスワップ額は9円です。
9円を7日で割ると1000通貨あたりの平均スワップ額は1.28円となりました。

スワップ額は口座によって全然違うね

こういう検証には正確性が必要よ
まだ、ここ最近だけたまたまユーロ円売りのスワップ額が上昇したという可能性もあるわ
ちゃっぴの言う通り、上記の情報だけでは比べている期間が違いすぎるので、たまたまここ最近ユーロ円売りのスワップがよかっただけだという可能性があります。
ここで今年の春から使っていたDMM FXのユーロ円売りのスワップも検証してみましょう。
DMM FXのスワップ

2021年4月21日から11月16日までポジション保有日数は209日
累計のスワップ額は4,586円
4,586円を209日で割ると平均スワップ額は21.942円
ただしこれは2万通貨あたりのスワップ日額なので1000通貨に合わせるためにこれを20で割ります。
そうすると1000通貨あたりのスワップ日額は1.09円となりました。
やはり、FX口座を変更することでユーロ円売りのスワップが日額1円(1000通貨あたり)くらい増えそうです。
スイスフラン円売りのスワップ
同じ要領でスイスフラン円売りのスワップも比べてみます。
こちらは計算結果のみをお知らせします。
既存FX口座(みんなのFX)のスワップ

保有期間は36日
平均スワップは0.08円
新規FX口座(LINE FX)のスワップ

保有期間は7日
平均スワップは1.71円

こちらは両方とも保有期間が短いから違いがよくわかるね
このようにFX口座によってスワップ額が全然違うので年に1,2度行う損出しのタイミングでFX口座を最適化するとトラリピの成績に差をつけることができます。
実際に損出しを行った効果を測定してみる

ユーロ円で1000通貨あたりに日額1円ほど、スイスフラン円では日額1.6円もスワップ額が違う計算になりました。
この結果を受けさっそく損出しを行ったところユーロ円は計3.3万通貨、スイスフラン円は計9000通貨で決済損益は-167,980円でした。
まずこれだけで33,000円以上の節税になります

よく損出しは税金を先延ばしするだけという人がいます

それは「もし将来そのポジションで利益が確定したら」という但し書きがつきます

たしかにトラリピは再現性の高い投資法だけど将来において100%利益が確定する保証はありません

つまりトラリピ運用がうまくいったら先延ばしだけど、失敗したときには税金の払いすぎを防げるってこと
さらにスワップ差額の効果をみてみましょう。
スワップは金額は変更になったり保有期間が不明だったりと不確定要素が多いので、ここでは差額は変わらず平均100日保有したとして考えてみます。

平均100日って長くない?

いや、ずっとずっと利確しなかったポジションを集めてるんだからむしろ短いくらいよ
スワップ差額はユーロ円売りで1000通貨あたり日額1円なので33,000通貨で日額33円
スイスフラン円で1000通貨あたり日額1.6円なので9000通貨で日額14.4円
これらを平均100日持つとなるとスワップ額は4,740円増える計算になります。

節税もできてスワップ益も増えるならいうことないね
なお、ポジションを振り替えた時に資金のやりくりやスプレッド相当のコストがかかることに気をつけましょう。
コストはユーロのスプレッド0.003円、スイスフラン円のスプレッドを0.015円とすると、234円になります。

今回の損出しでは33,000円以上の節税ができました
この節税は将来もし利益が確定したらその時には払う必要があるお金です。
それとは別にFX口座を最適化したことで推定4,500円ほどの利益を増やせる見込みとなりました
節税+FX口座最適化=手動リピートの損出しは最強

損出しは何かとネガティブな印象をもたれがちです。
でも、実際はよいことずくめで悪いことはほとんどありません。
リピート系自動売買でもマイナススワップの損出しを行うことはできますが、効果は微々たるものです。
手動リピートは自動売買に比べ10%~20%利益を上乗せすることができますが、損出しでFX最適化まで行えばさらに成績をあげることができるでしょう。
ごくまれに損出しを税金逃れのように考える方がいますが、わたしは全く逆だと考えています。
むしろ、いまの個人に対するFXの税制は短期的なトレードに念頭がおかれ、大きな評価損を抱えるづけるトラリピのように戦略は念頭においていないと想像します。
念頭にあれば時価総額で見れば赤字の可能性がある人から確定利益だけを見て税金を取ろうなどと考えにくいはずです
つまり、いまの税制ではトラリピのような形のFX取引方法はあまり考慮されていないということになります。
だから非常に前向きで効果的な損出しはむしろ正当な防御策であり、モラル的にも躊躇する必要は全くないのです。
特に手動リピートではポジション評価額に対しても損出しを行うことができるアドバンテージがあります
ややむずかしいテクニックですが果敢に挑戦してみてください。