いまやトラリピ界の第一人者と言っても過言ではない鈴さん。
ブログ内で公開されているトラリピ設定は非常に参考になりますね。
でも注意点もあるのです。
疑いようのない鈴さんの実績
鈴さんのブログでは設定のすべてにおいて緻密な検証がなされています。
もしこれからトラリピをはじめる人がいるなら、まず鈴さんのブログを見てくださいと、私は自信を持ってお勧めします。
私自身も鈴さんのトラリピ設定を参考にしながら、はじめの1年間は運用してきましたが、おかげさまでちゃんと利益が出ました。
特に利益幅については当時かなり参考にさせていただきました。
しかし!そんな実績も知名度もある鈴さんなので、ついついすべての情報を鵜呑みにしてしまいがちですが、私はそれで少し失敗をしてしまいました。
鈴さんの偉大さはすでに認知されていると思いますので、今回はあえて注意点を2点書こうと思います。
複数通貨ペアでの運用とスワップには注意

鈴さんは、ブログの中でリスクを分散させるために複数通貨ペアでの運用を勧めています。
また、マイナスのスワップが伴うトラリピの運用については、高金利通貨以外はマイナススワップの影響は軽微と述べています。
しかし、この2点について私は疑問に感じました。
複数通貨ペアは相関係数を参考にして慎重に選ぼう

複数通貨ペアの運用はリスクや必要資金を減らす意味で大事なのは言うまでもありませんが、鈴さんが複数通貨ペア運用について述べている箇所には注意が必要です。
鈴さんが複数通貨ペアを勧める理由
1つより複数の通貨ペアで運用をしたほうが、対象がバラけるので運用が安定すると鈴さんはブログで述べられています。
わたしもリスクを減らして安定して運用するためには複数通貨ペアで運用するという考えには100%賛成です。
それでは、安定しやすい通貨ペアの組み合わせを検証していくのが想定される流れになりますが、鈴さんはブログの中で安定しやすい通貨ペアの組み合わせというものは発表はしていないようです。
ただし、複数通貨ペア運用の箇所で、ドル円、豪ドル円、NZドル/米ドルの組み合わせが2016年11月の相場ではすべて別々の動きをして必要資金を大幅削減できたという実績を紹介しています。
つまり鈴さんがブログ内で言っていることはあくまで実績であって、過去のレートの相関係数などから検証した組み合わせではないのです。
リスクヘッジのためにNZドル/米ドルを追加運用した結果
私は手動でトラリピを運用していく中で、この鈴さんの記述を参考にして、NZドル米ドルの通貨ペアを追加しました。
当時、私は追加する通貨ペアの選定についてはあまり深く考えていませんでした。
ただ通貨ペアの数が増えるほど安定しやすいということと、NZドル/米ドルは円が絡まないので他の通貨との相関性は低いだろうという曖昧な予測のもと運用を開始しました。
結果はどうだったと思いますか? 2019年の春から秋にかけては、ドル円も下落、豪ドル円も下落、そして NZドル/米ドルも下落しました。
この間は、リスクオフの相場でドル高、円高の相場だったのです。
私はNZドル/米ドルを追加したことを非常に後悔しました。
後悔した理由はリスクヘッジの効果が出なかったからだけではありません。
想定外のリスクであれば仕方がないと思えます。
しかしリスクオン、リスクオフというのは為替相場でメインとなる要因です。
このリスクについてあまり深く考えず、ただ闇雲に実績のある方の情報を過信してしまったため、私は NZドル/米ドルのポジションをすべて損切りすることになりました。
相関係数を参考にした複数通貨ペア運用
通貨ペアには相関係数というものがあります。
これを知ると
①通貨ペア同士が似たような動きをするのか
②通貨ペア同士が全然関係ない動きをするのか
③通貨ペア同士が逆の動きをするのか
という傾向がわかります。
複数の通貨ペアを選ぶときは、③逆の動きをする通貨ペア、もしくは①似たような動きの通貨ペアを「売り」と「買い」で逆にトラリピしていくと運用を安定させることができます。
もちろん、3つ4つと多くの通貨ペアを運用する場合は②を入れたり、①と③のバランスを取ることでさらに安定した運用が可能です。
マイナススワップはおおいに気にするべき

鈴さんのブログにある、トラリピにおいてマイナススワップの影響は限定的いう箇所にも異議を唱えたいと思います。
鈴さんがマイナススワップは限定的と判断する理由
もちろん、マイナススワップを気にするかしないかは個人の考えや判断なのでそれぞれのスタンスで良いと思います。
鈴さんのブログ内のデータではマイナススワップは全決済益の6~7%くらいになっています。
この数字を持ってマイナススワップは限定的と判断しているようですが、私にとって-6~7%はすごく大きな数字に見えてしまいます。
スワップ影響の判断は0を基準にすべき
まず考えてほしいのが基準の数値です。
トラリピをするとプラスのスワップもたくさんもらっているはずですよね?
鈴さんの設定をみてみるとハーフ&ハーフという手法を使っているのでプラス、マイナス両方のスワップが発生しうる設定ですが、高金利であるZAR/JPY(ランド円)やMXN/JPY(メキシコペソ円)は「買」でしかトラリピしていません。
つまり条件的に見れば、マイナススワップを加味しても合計スワップはプラスでもおかしくはない運用に見えます。
その中で全決済益の6~7%も合計スワップがマイナスなのは個人的にはかなり大きな影響に見えてしまいます。
もちろん、現状ではマイナススワップを避けるにはハーフ&ハーフをやめなければならない状況なので、その損失利益に比べたらマイナススワップの影響は限定的という主旨だとは思います。
ただ、書き方が実像を見えにくくする書き方だなと思ったので指摘させていただきました。
また、私はツイッターで他の投資家さん達と交流していますが、マイナススワップのトラリピはかなり精神的にこたえます。
特に長期保有していたポジションのマイナススワップが決済利益を超えてしまった場合は、やっと決済してもマイナスという事態に陥ってしまいます。
この時の「なんのためにトラリピしたんだろう?」というむなしい気持ちは、実際の金額以上に精神的にもこたえます。
【2020年5月1日追記】
いろいろ運用を重ねた結果、理論上は鈴さんの言う通りで間違いなさそうです。
マイナススワップの影響<運用効率
ただし、鈴さんがその後ご自身のブログでも追記されているように、マイナススワップは慣れていない人には精神的ダメージが大きいので運用を途中でやめてしまがいち(=損失が出る)いうデメリットがあります。
鈴さんが偉大なことは変わらず、だからこそ盲信しないように気をつけよう

鈴さんのブログは控えめに言ってもすごいです。
内容はとても参考になりますし、なにしろ何年もずっと収支が大きくプラスというのは輝かしい実績です。
私があえて指摘させていただいた点においても、鈴さんの視点から見れば完全に正しいので、どちらが良い悪いということは全くありません。
ただ、ブログを読む読者さんは鈴さんの輝かしい実績から、内容のすべてが正しくて、すべてが自分に合っていると盲信してしまいがちです。
鈴さんは会社員で給与所得がある時代を過ごされた後、2018年からセミリタイアされました。
ブログにも書かれていますが、その間に運用方針も多少変更されています。
つまり、その時々によって鈴さんの属性を大きく反映した運用状況になっているのです。
他のブログで鈴さんの実績を検証している記事も拝見しましたが、現在の保守的な設定では今のような速度で利益は出ていません。
ご自身も仰っているように昔はリスクを取ってたくさん利益をだし、今は資産が増えたので安全第一で運用されています。
鈴さん自身が普段ブログ内では誤解を生まない表現に留意している方なのですが、今回私が指摘した点は見逃される可能性が高いと思い、あえてこのような文を書かせていただきました。
鈴さんの本が出ました