ここ最近、オージーキウイ(AUDNZD)のトラリピ設定に大きな変化がみられている。
2013年後半から発生した1.000~1.1500というオージーキウイの狭いレンジの上抜けを不安視する人が後を絶たない
めがねこもその不安材料をいち早くキャッチしていたが、まだ運用変更はしていない。
なぜならNZドルは日本の秋から冬にかけて上昇するというアノマリーがあり、この恩恵を最も受けるのがオージーキウイである可能性が高いから。
NZドルが日本の秋から冬にかけて上昇するというアノマリー
NZドルは日本の秋から年末にかけて上昇すると言われている。
アノマリーというと根拠のないものだと思われがちだが、このNZドル上昇についてはそれを裏付ける動機やデータもある。
酪農こそNZドル上昇のアノマリーの根拠
それがニュージーランドの酪農
ニュージーランドは農業大国で農畜産物の輸出が全輸出額の6割にのぼるほど高い
その中でも大きなウエイトを占めるのが酪農で、輸出額が農畜産物の4割を占めている。
つまり全輸出額の6割のさらに4割だから24%
ニュージーランドは国の総輸出額の約1/4が乳製品で成り立っている農業大国であると同時に超酪農大国なのだ。
牛の飼育サイクルが季節性を生み出す
ここで大切になってくるのが牛の飼育サイクル
春に子牛を生んで、エサの牧草が元気よく茂った夏にかけて母牛にしっかり栄養を取ってもらうことで健康な牛乳をたんさん出してもらう。
このようなサイクルが乳製品生産においてもっとも理にかなっているし、事実ニュージーランドもこれに習っている。
ニュージーランドは南半球にあるので日本とは季節が逆になる。
つまり、子牛をたくさん産む春先が8月となり、乳製品が輸出されるピークが12月なのである。
貿易という超パワフルな為替変動要因
さらに輸出という活動にも目を向けてほしい。
為替を変動させる要因はいろいろあれど、その中でも輸出入はとてもパワフルに為替を動かすと言われている。
為替やFXでよく取り沙汰されるのは、ヘッジファンドなどの投機筋による大掛かりな外貨の売買
これらはよくニュースになり強い為替変動要因だと思われがちだが、長期的な視点に立つとそうとも言い切れない
なぜなら為替を売買して儲けようと考えるものはかならず売りや買いを仕掛けたのちに、利益を確定させるときに反対の売買を行うからだ
つまり大きく為替を動かす代わりに、大きく為替を元に戻す力も働くのがヘッジファンドの仕掛けなのだ。
でも、輸出入はこれとは全く違う。
実際のモノとお金とを交換する行為なので、お金の動きだけに注目してみると一方的に動きっぱなしになるのが貿易による為替変動なのだ。
つまり輸入すれば一方的にその国の通貨は売られ、輸出すれば一方的にその国の通貨が買われる。
次々とナローレンジ懐疑説が浮上しトラリピの大御所は運用をやめた
この辺でオージーキウイのレンジに話を戻そう。
この夏、元祖トラリピのマネースクエアはスリーミリオンクラブというサービスにおいて、ナローレンジが機能しなくなる懸念を優良顧客に対して表明
またトラリピの大御所と言われるブロガーは、このスリーミリオンクラブのプランをベースにしたオージーキウイのナローレンジ運用から撤退
トラリピのオージーキウイ運用において影響を与え続けている先駆者とおぼしき方々が次々とナローレンジに懐疑的になっていることがわかる
未だナローレンジのめがねこは上抜けの不安材料をいち早くキャッチ
さて、早い段階からナローレンジという狭いレンジでオージーキウイの手動リピートを運用していためがねこだが、実はこの変化のきざしを敏感にキャッチしていた。
ナローレンジ懐疑説が大きく浮上するよりもっと前の5月の時点で今後のレート上昇の可能性を指摘していたのだ。
上記ブログにあるように状況をみてレート上昇の対応を行うつもりだが、現時点ではまだ実施にはいたっていない。
これには様々な理由があるが、そのひとつが年末にかけてNZドルが上昇するアノマリーなのだ。
アノマリーは信頼できるのか?過去10年のデータを公開
ここで気になるのが、NZドルのアノマリーが本当に信頼できるのかという点ではないだろうか?
さらにはアノマリーが単なるNZドル高に留まらず、しっかりオージーキウイ(AUDNZD)の相場にも当てはまっているのかというのも気になる点だ。
そこでオージーキウイの過去10年のデータを検証してみた。
毎年9月から12月までの安値を並べてみた結果、ほとんどの年で10月から12月にかけて段階的に安値が更新されていることが見て取れる
棒が右下に下がっている形になればアノマリー通りということになるね
2018年と2020年がわかりやすい
これほどハッキリした傾向があれば、NZドルのアノマリーはオージーキウイにはしっかり適用できると考えてよさそうだ。
ただし相場において楽観的思考を持つことは危険だ。
この法則に当てはまっていなかった年も2012年、2015年、2017年、2021年と4回もあった。
これをどう考えるべきか? それぞれの年について検証してみよう。
2012年の検証
2012年は元々とても例外的な年だったと言い切って構わない。
オージーキウイのナローレンジ(1.0000~1.1500)が機能し始めるのが2013年後半からなので、そもそも2012年はレンジ外なのだ。
近年のアノマリーに当てはまるか検証しているので、前提のレート条件からして大きく違う2012年のデータは参考にならないと考えてもよいだろう。
2015年の検証
2015年は9月から10月にかけて大きく安値が切り下がっていることに注目してほしい。
他の年ならば10月から12月に向けて段階的に安値が切り下がる傾向がある。
だが、この年は9月から10月に大きく切り下がってしまったため、その後の切り下がりの余地が限定されたと解釈できる。
つまり大筋においてアノマリー通りだと考えられるだろう。
2017年の検証
もっとも説明がつかないのがこの2017年だ。
どちらかというと徐々にNZドル安になっているようにも見える。
原因はわからないが、おそらくこの年は年の瀬にかけてNZドル安に導くなにかの要因が発生したのだろう。
2017年だけはアノマリーが全く当てはまっていないと判断するしかない。
2021年の検証
2021年もアノマリーが全く当てはまっていない年だ。
ただこの年は過去10年においてレートがもっとも安い年でもあるのだ。
つまりこの年は元からNZドル高だったから、これ以上のオージーキウイのレート下落余地がなかったと考えたほうがよさそうだ。
この検証はアノマリーがオージーキウイのナローレンジに恩恵を与えるかどうかの検証だ。
2021年にアノマリー通りにレートが大きく下がってしまったら、むしろナローレンジの安値を割ってしまうことにもなりかねない。
この年はアノマリーとしては機能していなかったが、ナローレンジを維持するという本来の目的からすると理想的な値動きだったと言える。
NZドル高のアノマリーはAUDNZDではそれなりに信頼できる
結果的には10年のうち6年がしっかりアノマリー通りの値動きになった。
機能していなかった4年でも、そのうちの2年は総合的に見ればオージーキウイのナローレンジに貢献するような値動きだった。
全くアノマリーが通じず、レートが悲観的な動きをしたのは2年
そのうちの2012年は、そもそもオージーキウイがナローレンジを形成していなかったので関係ない。
当時の相場環境も大きく違ったはずなので除外しても構わないだろう。
つまり期待していたアノマリーが機能せずにネガティブな影響を与えたのは、この10年間で2017年の1回のみというのが結論である。
めがねこがオージーキウイの設定変更をするタイミング
いまはインフレに伴ったオージーキウイ環境の変革期とも言える。
よってこれまでの常識が機能しないことも増えるだろう。
しかし、ことニュージーランドの乳製品輸出に関しては過去と比べてそれほど大きな変革があったというニュースは聞いたことがない。
つまり年末にかけてのNZドル高のアノマリーは少なくともまだ数年は機能すると考えている。
年末にかけてオージーキウイのレートが下落する期待があるので、わたしはまだ設定変更に着手していないのだ。
設定変更に着手するのは不意にオージーキウイレートが上昇するか、逆にオージーキウイが希望の1.07というレートに達するか、はたまた年末を過ぎてアノマリーの恩恵を受けたあとの3択なのである。
なにを信頼するか?オリジナルに近いほど信頼性があがる
今回、マネスクのスリーミリオンクラブから発せられたナローレンジ存続への懸念や、トラリピ界の大御所のナローレンジ撤退により不安を持つ人も多いだろう。
ただ考えてほしい。
そもそもこのナローレンジを提言したのはわたしが知るかぎりトライオートFXのコアレンジャーという設定が最初だ。
それはマネスクのトラリピがオージーキウイを実装する数年も前のことなのだ。
つまりマネスクもしっかり独自の分析をしたのかもしれないが、0からオリジナルのレンジ分析をした知識はそのかなり前から提供されていたことになる。
さらにトラリピの大御所にいたっては、そもそもナローレンジに懐疑的で当面の間はワイドレンジ一辺倒の設定をしていた。
ブログを見てもスリーミリオンクラブの言われた通りやってみたらうまく行った程度のスタンスなので、独自の分析には期待しないほうがいい。
今回どういう経緯で撤退したかはわからないが、単にスリーミリオンクラブのアドバイスを受け入れただけにも見える。
そもそもこの人は基本ワイドレンジで安全設定のトラリピを志向しているのにも関わらず、その安全設定ですら昨今の円安で崩壊したのでレンジ想定において参考になる人物ではない。
なんとか円安シフトという追加策を出し、ドル高によりそちらが機能しているのでユーザーを路頭に迷わせていないのがせめてもの救いだ。
余談だが、円安シフトについては有志の方が提案してくれている代替案がある
わたし自身もオージーキウイのナローレンジをはじめた2019年にはトライオートFXのコアレンジャーやYukiさんの為替研究所をおおいに参考にした。
「参考」というのは情報源として取得した上に自分でもそれを精査し納得する行為だ。
こうして自分で考え続けたので、今回のオージーキウイの想定レンジ上抜け疑惑についてはいち早く自分自身で分析しオリジナルの情報を発信できた。
さて、今回は年末にかけてのNZドル高アノマリーを検証してみて、その信頼性は高いと判断した。
だからこそ、わたしのオージーキウイ設定は状況がかわらない限り、年末まではこのまま続けるという判断にいたった。
もちろん、わたしの分析や考察は間違っているかもしれないし、それは年末には答えが出るだろう。
もし大きく外れていたら、その時は逃げも隠れもせず皆様にお詫びをし、さらには自分の身銭が大きく減るというペナルティーを受けることにもなる。