トラリピなどのリピート売買で絶対避けなければいけないのはロスカット
こんな言葉を何度も聞くと、どうしても怖くなってしまうもの。
だから、それを聞いたあなたも「ロスカットは絶対ダメ」なんて、したり顔で言っていませんか?
もちろんロスカットで利益が増えることは決してないので、避けるに越したことはありません。
ただ、ロスカットは元々はあなたを守るための安全装置なのです
このブログでは、ロスカットが起こった時のダメージの違いを通貨ペアごとに見ていきます。
ダメージが違うってどういうことなんだどん
即死なのか、イキロと言われながら回復薬グレートを飲むかの違いだよ
トラリピのロスカットは証拠金の割合と深い関わりがある
FXのロスカットとは証拠金維持率が100%(100%以外のFX口座もある)になってしまうと発動する強制決済のことです。
そうです。
ロスカットは証拠金が占める割合によって、残る金額が決まってきます。
FXの裁量トレードでは、レバレッジが高くなる傾向があります。
だから証拠金の占める割合が少なくなりがちなのです。
これはロスカットになるとほとんど資金が残らない、もしくは運が悪ければ追証(追加でお金を支払うこと)まで払うハメになる可能性が高いということです。
このイメージが強いので多くの人はロスカット=破産をイメージしてしまいます。
でもトラリピでロスカットが起こるときは限界までポジションを保有しているときです。
つまり保有ポジションの証拠金の総額も高いのです。
元々ロスカットは安全装置です。
そしてトラリピの場合のロスカットはポジションを多く保有したタイミングで起こるので、必ずといっていいほど、いくらかの資金は残ります。
トラリピのロスカット後の残高を試算する【ダメージ計算】
ロスカットの影響が気になってきたところで、具体的なロスカット後の残高のシュミレーションを行っていきます。
- わかりやすいように資金を100万円、トラップ幅は均等に調整する
- 一般的なレバレッジ25倍、証拠金維持率100%で試算する
- 通貨ペアはカナダドル円、豪ドルNZドル(オージーキウイ)2パターン、米ドル円の計4パターンとする
トラリピのロスカット計算においては、ブログで発表した方法を使って行います。
カナダドル円トラリピのロスカット残高
まずはカナダドル円のロスカット時の残高計算から行っていきます。
資金は100万円で計算すると買いの設定とロスカットレートは以下のようになりました。
買い設定
レート | 72~87円 |
本数 | 91 |
トラップ幅 | 0.166円 |
通貨量 | 0.1万通貨 |
ロスカットレート | 71.336円 |
ロスカット時の残高(=証拠金)は289,380円でした。
資金の約29%ほどの残金が残る計算です。
続いて売りの設定とロスカットレートです。
売り設定
レート | 87~102円 |
本数 | 85 |
トラップ幅 | 0.178円 |
通貨量 | 0.1万通貨 |
ロスカットレート | 102.177円 |
ロスカット時の残高は321,300円でした。
資金の32%ほど残高が残ることになります。
米ドル円トラリピのロスカット残高
資金を100万円に合わせて運用設定を考案しました。
買い設定
レート | 75~100円 |
本数 | 63 |
トラップ幅 | 0.403円 |
通貨量 | 0.1万通貨 |
ロスカットレート | 74.612円 |
ロスカット時の残高(=証拠金)は220,500円でした。
資金の22%ほどの残金が残る計算です。
売り設定
レート | 100~125円 |
本数 | 57 |
トラップ幅 | 0.446円 |
通貨量 | 0.1万通貨 |
ロスカットレート | 125.042円 |
ロスカット時の残高は256,500円でした。
資金の25~26%ほど残高が残ることになります。
豪ドルNZドル(オージーキウイ)トラリピのロスカット残高
豪ドルNZドルも資金100万円の試算ですが、2つの設定で別々にロスカット残高を出してみます。
ひとつは利益率が高いけどリスクが高いと言われている設定、もうひとつはかなり安全性が高いといわれているワイドレンジの設定です。
利益、リスクともに高い設定(ナローレンジ、コア両建て)
これは、めがねこが実際に運用しているものを資金100万円用にアレンジした設定です。
めがねこはコアレンジ両建てといういちばんリスクが高い設定なんだ
買い
レート | 1.0000~1.1000 |
本数 | 150本 |
トラップ幅 | 約0.0007 |
通貨量 | 0.1万通貨 |
ロスカットレート | 0.99957 |
豪ドルNZドルはNZドル円レートによりロスカットレートが変動しますので参考値になります。
残高は464,500円でした。
資金の46%ほどの残金が残ることになります。
売り
レート | 1.0400~1.1500 |
本数 | 133本 |
トラップ幅 | 約0.0008 |
通貨量 | 0.1万通貨 |
ロスカットレート | 1.15095 |
試算上のロスカット時の残高は429,500円でした。
資金の約43%ほどの残金が残ることになります。
安全性が高い設定(ワイドレンジ)
こちらは、安全性が高い言われているワイドレンジの設定です。
めがねこが運用している設定のなんと2倍もの範囲をカバーしています!
買い
レート | 1.0000~1.15 |
本数 | 115本 |
トラップ幅 | 約0.0013 |
通貨量 | 0.1万通貨 |
ロスカットレート | 0.9971 |
豪ドルNZドルはNZドル円レートによりロスカットレートが変動しますので参考値になります。
残高は363,759円でした。
資金の36%ほどの残金が残ることになります。
売り
レート | 1.1500~1.3000 |
本数 | 105本 |
トラップ幅 | 約0.0008 |
通貨量 | 0.1万通貨 |
ロスカットレート | 1.30239 |
試算上のロスカット時の残高は378,000円でした。
資金の約38%ほどの残金が残ることになります。
トラリピ向きの通貨ペアはロスカットしてもダメージが少ない
結果が出そろったところでロスカット時の残金を比較してみましょう。
残金がもっとも少なかったのが米ドル円、続いてトラリピ向きと呼ばれるカナダドル円、そして1番残金が多いのがトラリピ史上最強ペアと呼ばれる豪ドルNZドルでした。
ロスカット時の残金
通貨ペア | 買い | 売り |
---|---|---|
米ドル円 | 220,500円 | 256,500円 |
カナダドル円 | 289,380円 | 321,300円 |
豪ドルNZドル (ワイドレンジ) | 363,759円 | 378,000円 |
豪ドルNZドル (ナローレンジ) | 464,500円 | 429,500円 |
トラリピに向いていると言われている通貨ペアほど、ロスカット時の残金も多いことがわかります。
米ドル円と豪ドルNZドルのナローレンジを比べると残金に2倍近くも差があることがわかります。
ロスカットでは死なない通貨ペアなら攻撃的にトラリピ設定を組むのもアリ
面白いのは、豪ドルNZドルでもリスクが高いと言われているナローレンジの方が残金がかなり多いことです。
リスクを取ったナローレンジは当然ロスカットされやすくなります。
その代わり、利益率が高いというのが今まで知られている情報でした。
今まで
レンジが狭いと、利益率は高くなるがロスカットされやすい
今回の検証では、それに加えてロスカット時の残金もかなり多いこともわかりました。
つまり
レンジが狭いと、利益率は高くなるが、ロスカットされやすい
でもロスカット時の残金は多い
これまでは、攻めた設定(レンジを狭くして利益率をあげる設定)はロスカットされやすいので危険だというのが通説でした。
でも今回の検証結果では、攻めた設定の方がロスカット時の残金が多いことがわかりました。
これにより、ロスカットされる前に利益を増やし切り、もしロスカットされても利益を確保するという攻撃的な逃げ切り戦略も充分狙えると考えられます。
「ロスカット=絶対ダメ」で思考停止せずに1歩先を見てみよう
FXでは、ロスカットをすると資金のすべてを失ってしまうという思い込みがあります。
でも、トラリピでは保有しているポジションが多いので、ロスカットしても一定の残金が残ります。
さらにトラリピ向きといわれる狭いレンジの設定ではより多くの残金が残ります。
狭いレンジの設定では利益率も上昇するので、攻撃的な設定はイメージされているより危険性が低いです。
ただし、ロスカットレートは大抵チャートの大きな節目近くに置かれています。
チャートの節目ではスリッページが発生しやすいことには留意しましょう。
スリッページが発生すると試算より残金がかなり少なくなる危険性があります。