損出しという言葉、まだまだ聞きなれない人が多いようです。
わたしはFX取引を行っている手前、よく損出しという言葉を使うのですが、未だに意味を聞かれることがあります。
なかなか一言で説明するのはむずかしいので、このブログ記事にて解説することにしました。
この記事を読めば損出しが理解でき、あなた自身が損出しを行うべきかもわかるでしょう。
シンプルに言えば、損出しを行うべき人は所得税の確定申告をする必要がある人です。
損出しを行うべき人は確定申告を行う必要がある人
このブログではわたしが行っているFXの手動リピートのポジションを例にとり、損出しについて説明していきます。
損出しをすれば所得税の納税額を減らせます
損出しというのは、FXなどで暫定的に抱えている損失を一時的に確定することです。
ここから先はずっとFXを例に話を進めます
暫定的に抱えている損失を一時的に確定すること
損出しを行う目的は、確定申告においてFXの雑所得の額を減らすことです。
この雑所得が多いと所得税の課税額も増えるので、課税額を抑えるために行うのが損出しです。
一般的なサラリーマンなら雑所得が20万円未満なら確定申告の必要がない
つまりFXの確定利益が20万をちょっと超えている人にとって損出しはマストのテクニック
損出しはFXの雑所得の額を減らすのが目的なのでそもそも利益がない人は損出しは不要です。
あくまでFXで年末までにそれなりの利益が出た人が所得を調整するために行うのが損出しなのです。
損出しの意味がまだよくわからない人もあとから説明する具体的な方法を知れば理解が深まりますよ
損出しを行うべきなのはどんな人?
損出しを行うべき人は次の両方に該当する方です。
・年末までにFXで確定申告が必要なほど利益が出ている人
・暫定的な損失があるポジションを保有している人
つまり損出しの必要があり(FXで確定申告が必要な額の利益が出ている)、損出しできる(暫定的な損失がある)ポジションを保有している人が損出しをすべき人になります。
FXで手動リピートを行っている人は損出しすべき人に該当しやすい
わたしはほぼ毎年この損出しすべき条件に当てはまります。
そのワケはわたしが行っている手動リピートというFXの戦略の性質が、損出しできる条件を生み出しやすいからです。
手動リピートではほぼ100%の確率で利益が出る半面、損失があるポジションを抱えている確率が非常に高いのです。
ですから、手動リピートを行っている方はぜひ損出しをマスターしてください。
なお、自動売買のトラリピ
を行っている人にもできる損出し方法もあります。
2つある損出しの方法
FXで損出しをする方法は大きく分けて2つあります。
・マイナススワップがあるポジションでスワップ振替を行う
・評価損が出ているポジションを暫定的に決済する
マイナススワップの振替
とても簡単に行える損出しがこのマイナススワップの振替です。
マイナススワップの振替は、スワップを振り替えられるFX口座を保有していれば誰でも可能です。
やり方も非常にシンプルでマイナススワップが貯まっているポジションに対して「スワップ振替」を行うだけです。
こうすることによってカウントされていなかった対象ポジションのマイナススワップがカウントされ、その分だけ確定利益を減らすことができるのです。
評価損があるポジションを暫定的に決済する
もう1つの方法が評価損のあるポジションの暫定決済です。
ポジションの暫定決済は複雑ですが非常に効果の高い方法です
なおトラリピなどの自動売買ではこの方法を使うのは至難の業です。
なぜなら自動で売買を行ってしまう口座では暫定的に決済するという条件をクリアするのがとても難しいからです。
よって、このポジションの暫定決済はリピート系売買の中では手動リピートの特権と言えます。
マイナス評価額のポジションを使った具体的な損出し方法
それではマイナス評価額のポジションを使って具体的な損出しの方法をお伝えします。
同じ順序でマネしていただければ上手に損出しを行えます。
損出しを行うタイミング
損出しは12月の後半に行うのがベストです。
なぜならFXの年間損益は年末締めだからです。
所得税の申告を行う際は、年初から年末までの「年間損益報告書」の情報を元にして申告を行います。
よって自分のFXの利益額がおおむね確定している12月の後半に可能なポジションを見つけて積極的に損出しを行いましょう。
FX口座によって12月27日頃が年間損益計算の最終日だったりもするのでFX口座のホームページで確認しておくといいですよ
損出し対象を決める
まずは損出し対象のポジションを決めましょう。
損出しするポジション
上記のポジションは指値注文でこのような決済レートが設定されています。
ポジション情報を表にするとこのようになります。
取得レート | 104.461円 |
評価額 | -21,700円 |
Lot | 0.5 |
決済レート | 107円 |
代替ポジションを保有する
損出しは損切りではないので、まずは代わりのポジションを保有します。
「旧」が以前から保有していたポジションです。
取得レートとLotが同じことから以前から保有していたポジションだということがわかります。
「新」が新しく保有した代替ポジションです。
成行注文にて旧ポジションと同量のポジションを取得しました。
成行で代替ポジションを取得する時はスプレッドが広がる明け方や早朝はなるべく避けよう
「新」ポジションの決済注文を行う
新たに保有したポジションは、損出しする古いポジションの代わりです。
ですから、古いポジションと同じ決済レートを注文します。
「新」注文に対して指値で決済レート107円を設定する
古いポジションを損出しする
「新」ポジションを成行で取得し指値で決済レートを設定したら、損出しの準備はすべて完了です。
損出し対象の「旧」ポジションを成行注文で決済します。
この損出しで-20,639円を確定させることができました。
実際に損はしないのか?
損出しは、実際にはほとんど損をしません。
これは「新」「旧」ポジションを比較するとよくわかります。
旧ポジション
取得レート | 104.461円 |
Lot | 0.5 |
決済レート | 107円 |
想定利益 | 12,695円 |
旧ポジションの想定利益は12,695円でしたが、実際はすでに-20,639円で決済を行ってしまいました。
このために想定より33,334円少ない損益が発生してしまいました。
新ポジション
取得レート | 100.125円 |
Lot | 0.5 |
決済レート | 107円 |
想定利益 | 34,375円 |
新ポジションの想定利益は34,375円なので、旧ポジションの想定額との差である33,334円を埋められる利益が期待できます。
よって損出しを行っても、損出ししないのと成績はほとんど変わらないことがわかります。
なお損出ししたほうが少し利益が増えるのは旧ポジションでいくらかプラスのスワップが貯まっていたからです。
「損出しは意味ない」という意見に対する回答
結局、損出しというのは納税を先延ばしにしているだけと言う人がいます。
確かにそういう見方もできないことはないですが、この意見には大切な視点が抜けています。
損出しは意味ないという方にはどんな視点が抜けているのか
こちらのブログ記事にて詳しく解説しました。
損出しを知り実施できれば大きく納税額を減らせる場合もある
投資、特にFXでは確定した損益のみが雑所得としてカウントされます。
一般的なトレーダーならこのシステムでも大きな問題はありません
しかし、トラリピなどの常に評価損を抱えるリピート系売買では致命的に不利な税制なのです。
この不利な状況を少しでも和らげてくれるのが損出しなので、できる限り活用していきましょう。
自動売買の方は含みスワップを確定させることでマイナススワップ分の損出しができます。
さらに手動リピートでは評価損があるポジションを暫定的に決済することができます。
評価損がある限り損出しのメリットを受けることが可能なので、かなりの額の利益を相殺することができ、大きく納税額を減らせる可能性があるのです。
手動リピートのことをもっとよく知りたい人はこちらを読んでね